よい「専門医」を見つけ出すには
矯正専門医は、非常に少なかった
良質の矯正専門医を見つけ出すことは本当に難しいことだと思います。専門的知識や技術力は勿論ですが、自分にあった先生を見つけるのも大変なことだと思います。 歯科矯正学はそれ自体奥が深く、なかなか大学の教育の中で完了することはできません。私の大学では、当時の話なのですが、大学院に入らないと矯正学を習得できませんでした。つまり、一年に2人しか専門医(当時は矯正家と呼ばれていた)が育たない状態でした。矯正学教室(大学院)では、基礎的な知識と臨床の両方を学びます。また、学会への積極的な参加も必要です。ですから現在においても、本格的な歯科矯正の知識は、大学卒業後の知識ということになり、それなりの教育機関を利用しないと難しいと思います。
私が歯科矯正を志したころは、矯正の患者さんも今ほど多くはなかったし、また専門の先生もやはり少なかったのです。ですから、各町に矯正の専門のクリニックが必ずあることはなかったのです。それで、町の歯科医院の依頼で、教育機関である大学から専門医が月に一回のペースで診療をしに行ったものでした。ほとんど矯正の設備(矯正用のレントゲンや器具など)もなくひどいものでした。
矯正治療は、妥協せずに「矯正専門」のクリニックへ
現在は、各町に必ず矯正専門のクリニックがあるわけですから、設備もスタッフもそろったクリニックを選択すべきだと思います。まだ大学から専門の先生が、月に一回のペースで診療に来るといった歯科医院もたくさんあるようですが、そのようなシステムでは、かりに設備が整っていたとしても(あまり、ないはずです)、診療に当たっているその先生が、長期にわたる矯正治療期間を通して出張診療をしに来てくれるのは、考えにくいことですし、もしそうなれば、患者さんにはかなりマイナスになることは明らかです。またよく起こりがちな矯正装置の脱落や不慮の痛みへの対処の問題等、その他さまざまな問題を含んでいると思います。とにかく、矯正治療は動的・静的治療期間を通して時間がかかるため、自分の治療した患者さんの結果を検討するのに5年も6年もかかるのです。ですから、矯正専門医というのは時間がかかって誕生するわけですが、つまるところ、良質の専門医は、知識は勿論のこと、基本に忠実で、しかもその基本を長期にわたって実践している先生ではないでしょうか。
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